園だより

園だより
2026 / 4 / 9
金井幼稚園
 
入園進級おめでとうございます。園の桜はもうすでに散り始めましたが、かろうじて遅く咲き始めた桜が雨風に吹き飛ばされないように耐えながら、子どもたちの入園や進級を心待ちに待っているようです。例年ですとソメイヨシノが散り終わってから門のところの牡丹桜が咲き始めるのですが、今年はソメイヨシノも牡丹桜も同時に楽しめる年になりました。
 
卒園した子どもたちも春休みの園へ真新しいランドセルを背負って私たちに見せに来てくれます。ピカピカのランドセルを背負って希望を持った顔をしてキラキラと輝いているように見えます。子どもたちが次のステップへ向かっているのだと実感します。ひととき園であそんだあと子どもたちは帰って行きますが、そこには一抹の寂しさも覚え、この園での子どもたちとの生活が走馬灯のように想い起こされます。
 
小学校入学を間近に控えた日、Bちゃんが園へやってきました。門の坂の下で大きな声で担任の名前を呼んでいます。ですが、坂の下で躊躇している様子、その場にとどまっているので担任は大きな声でBちゃんの名前を呼び、駆け降りてBちゃんを抱きしめました。するとBちゃんは担任の胸の中で大きな声をだしながら泣き始めました。Bちゃんの張り詰めた心の糸が切れたのでしょう。子どもたちにとって新しい環境に進むことは私たち大人が考えている以上に心の中に秘めていることが大きな存在なのだと改めて感じた瞬間でした。門の下で躊躇した姿は、もうこの園から卒園したんだという思い、自分は次のステップへ向かっているんだという思い、そんな葛藤を払拭したような懐かしい温かい担任の胸の中、張り詰めたBちゃんの心のなかに何かが化学反応をおこしたのでしょう。
 
Bちゃんは入園当初、自分が自分を押し通すような子どもでした。自己主張が強くなかなか他の子どもたちを受け入れることが難しい子どもでした。しかし、この園で多くの人たちと出会い、この環境を少しずつですが受け入れたのでしょう。年長になってからは別人のように子どもたち同士で思いっきりあそび、今まで受け入れなかった大人の存在を快く受け入れるようになりました。成長と言ってしまえばそうなのですが、Bちゃんを取り巻く全てのあたたかい環境がBちゃんの心の成長に寄与したのでしょう。そんな環境が子どもたちを成長させ、人と人とが繋がっていく心地よさを醸し出していくことを学んだのではないでしょうか。
 
子どもたちにとって新しい環境に向かっていくということは大変なことなんだと思います。新入の子どもたちも然り、進級の子どもたちも然り、そんな子どもたちを迎え入れる園の環境は子どもたちの安心を願ってゆっくりと進みます。心を寄せる動物や植物、友だち、そして、私たち保育者と同じ心の成長を願う両親。慌てなくてよいのです。じっくりと腰を据えて歩みましょう。この園の環境を自分たちのものにするのは多少時間がかかるかもしれませんが、大丈夫です。子どもたちは前へ前へと進んでいきます。
 
Bちゃんは長い間ともだちと園であそんでいました。それは、園にいたときと同じ屈託のない笑顔でした。たしかにこの園に自分自身は存在していたんだという充実感、いつでも戻って来れるという安堵感。Bちゃんは次のステップへ向かう勇気や安心感を得て帰って行ったのでしょう。がんばれ!!
 
園長 木部老克彦