園だより

園だより    2022年4月28日

  
 
 牡丹桜の花びらが未明からの春嵐に吹き飛ばされて園庭や道路に花びらの絨毯を作りました。代わって春の芽吹きの柔らかい葉が、子どもたちが駆け込んでくる姿を見守るように日差しを和らげる役割を担っています。早春から始まり、季節は子どもたちの生活を見守るようにやさしくこの園の環境を見守ってくれているようです。そんな優しさに包まれながら子どもたちは存分に自分を発揮している姿がそこここに見えるようになりました。園生活の始まりの一歩を確実に歩み始めているのだと思われる光景が園庭やクラスで展開されています。
 
 先日、テレビのニュースを見ていると「子どもの権利条約」のことが話題に取り上げられていました。これは、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約であり、1989年第44回、国連総会で採択され1900年に発行され日本では1994年に批准された子どもの権利をどのように認知し守るのかの条約です。
 
1、生命、生存及び発達に対する権利
 
2、子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
 
3、子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)
 
4、差別の禁止(差別のないこと)
 
 この4項目の原則からなり、子どもの教育や保育に関わる大人は当然のことながら知っていて当たり前のことなのですが、ニュースでは全国の公立小学校の教師にアンケートをとったところ約2割の教師がこのことを知らないと答え、約3割の教師が名前は知っているが内容を詳しく知らないという結果が報告されていました。条約のままに子どもを扱いなさいという乱暴な言い方はしませんが、少なくとも世界の人々が子どものことを大切に感じ、かけがえのない人権を持った人間なのだということを意識しないで教育に関わっている教師が少なからずいることに大きな衝撃を受けました。知らないということは「悪」ではありません。知ることへの興味を失った時、人は独善的に陥りがちであるということを意識しなければなりません。相手への思いやりや優しさを額面で説いた教育ではなく、相手の思いや願いを知る努力を怠らない人に少しでも近づく努力をしましょう。
 
 子どもたちは新しい関係性の物語を紡ぎ始めました。そこには、自らが感じることが尊重されている私たち保育者や園の環境が用意されています。「知りたがりでやりたがり」な子どもたちに育ってくれることを願っています。そして、その道筋をしっかりと応援したいと思います。           
 
 
 

2022年 4月28日    金井幼稚園 園長 木都老克彦