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園だより

4月28日

あそびの水


 園庭の牡丹桜が強い風に舞い上がり、鯉のぼりに別れを告げるように飛んでいきます。子どもたちは舞い散る花びらを追いかけて園庭中を駆け回っています。日差しは強くなり、もうそろそろ木々の若葉も芽吹き始め牡丹桜もお母さんのプレゼントになったり、おままごとの材料になったりの役割を終え、若葉にその座を明け渡す時期が来た様です。日に日に若葉は緑色を濃くし、子どもたちを強い光りからそっと守ってくれるでしょう。

 砂場では温かさに誘われるように子どもたちが砂山を作ったり水を流したりしてあそんでいます。私も砂場で新入園の子どもたちと砂あそびをしました。始めは全員、片手シャベルを持って砂山を作ろうと砂を一カ所に積み上げていきましたが、しばらくすると一人二人とシャベルを放り出し素手で砂を積み上げるようになりました。シャベルを使っていた時の子どもたちの感覚と違和感を感じたので、子どもたちの動きを良く見てみました。シャベルを使っていた時の子どもの動きは腕だけが動いていました。今、目の前に素手で砂を積み上げている子どもたちは全身を使って砂を積み上げています。そして、手の指先までに全神経を通わせ、砂を摘み手で固めています。それと同時に、今まで無言に近い状態で砂を積み上げていた子どもたちが、なにやら会話でやり取りを始めるようになったのです。砂山を壊す段になると殆どの子が素手になり、素足になり、「わーっ」とか「えいっ」などの声を出し、となりの子と協調している姿もあります。その後も、何度も山を作っては壊し、作っては壊しをくり返し砂あそびは終わりを告げました。

 子どもたちにとって、この園の環境を使いこなしていくには時間や空間や場所が必要です。一見、何気ないあそびの中に子どもたちの環境への働きをみることが出来ます。園へ来る前は子どもたちにとって自分を育てる時間や空間や場所は自分たちの生活とは離れた場所にあり、充分に時間をかけてあそび、一人ではない空間に身を置き、自分の感覚や思考をフル動員してあそぶ経験はなかなか出来なかったのではと思います。園はそんな子どもたちの感覚や思考を充分に満たしてくれる生活とともに「環境」があります。そして、なによりも多くの同年齢、異年齢の子どもたちがこの環境に日々働きかけ、徐々にではありますが自分の感覚や思考、そして、体をつくりあげていくことでしょう。

 Aくんが砂山に手を突っ込んでは出し、その手をじっと見つめています。不思議そうな目から徐々に優しい目に変わっていきます。一杯一杯心の器にあそびの水を満たしていくように。

                         園長 木都老克彦